数十年前、自動車開発現場での出来事

今から数十年前、とある自動車メーカーの開発現場での話です。
当時はまだ「アクセルとブレーキの踏み間違い」が大きく取り沙汰される前でしたが、社内ではすでにその可能性について議論が始まっていました。

しかし、開発部の中には「そんなの、ありえないだろう」と懐疑的な声も多かったそうです。
――が、ある技術者がその意見を検証すべく、実際に実験を行いました。

実験では、ブレーキを踏むつもりでわざとアクセルを踏むよう設定。
その結果、運転者は瞬時に混乱し、パニック状態に。
「間違えた!」と気づいたときには、なんと無意識のうちに、より強くアクセルを踏み込んでしまったのです。

当時その実験を見た技術者は、今でもこう語ります。

「どんな状況でも、左足でブレーキは踏まない。あのときの光景が忘れられないからね。」

現代では、高齢ドライバーの事故や、自動ブレーキなどの先進技術の開発が進められていますが、
当時すでに「人間の心理と行動」に着目していた開発者たちの目は確かだったのかもしれません。