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レーザークリーナーの周波数(kHz)とは?サビ取りで設定を変えると何が変わる?

レーザークリーナーの周波数(kHz)とは?サビ取りで設定を変えると何が変わる?

レーザークリーナー、特にパルスレーザークリーナーを使用していると、「周波数」という設定項目が出てきます。

操作画面には、

100
300
500

などの数字が表示されることがありますが、

「この数字を上げるとレーザーが強くなるの?」
「サビ取りには高い周波数の方がいいの?」
「mJとはどんな関係があるの?」

と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

実はレーザークリーナーの周波数は、加工結果を左右する非常に重要な条件のひとつです。

今回は、レーザークリーナー専門メーカーの合同会社ジージービーが、周波数(kHz)を変えると何が変わるのかを、できるだけ分かりやすく解説します。

レーザークリーナーの「周波数」とは?

パルスレーザーは、レーザー光をずっと出し続けているわけではありません。

非常に短いレーザー光を、細かく繰り返し照射しています。

この1秒間に何回レーザーを照射するかを表すのが「周波数」です。

例えば、

100kHz=1秒間に10万回

500kHz=1秒間に50万回

のパルスを照射していることになります。

kHzは「キロヘルツ」と読みます。

1kHzは1,000Hzですので、500kHzなら1秒間に50万回という非常に速い間隔でレーザーを照射していることになります。

周波数を上げるとレーザーは強くなる?

ここはレーザークリーナーを使用するうえで、非常に誤解されやすい部分です。

周波数を高くしたからといって、1発のレーザーが強くなるわけではありません。

平均出力が一定という条件で考えると、むしろ周波数を高くするほど、1発あたりのエネルギーは小さくなります。

パルスレーザーでは基本的に、

平均出力(W)=1パルスのエネルギー(J)× 周波数(Hz)

という関係があります。

例えば100Wのパルスレーザーの場合、単純計算では次のようになります

周波数

1パルスあたりの理論エネルギー

100kHz

約1.0mJ

200kHz

約0.5mJ

500kHz

約0.20mJ

600kHz

約0.17mJ

つまり周波数を高くすると、

1発あたりのエネルギーは小さくなる一方、照射する回数は増える

ということです。

1パルスあたりのエネルギーを表すmJ(ミリジュール)については、こちらの記事で詳しく解説しています。

レーザークリーナーはmJが大きいほど強い?パルスエネルギーとW・周波数の関係をメーカーが解説

周波数が高くなるとパルスの間隔は短くなる

周波数を理解するときは、1回のパルスから次のパルスまでの時間を考えると分かりやすくなります。

例えば、

周波数

パルス間隔

100kHz

10μs

200kHz

5μs

500kHz

2μs

600kHz

約1.67μs

となります。

500kHzでは約2マイクロ秒ごと、600kHzでは約1.67マイクロ秒ごとに次のパルスが照射されます。

つまり高周波になるほど、非常に短い間隔で次々とレーザーが照射されることになります。

高周波の方がサビが速く取れる場合もある

ここがレーザークリーニングの面白いところです。

1発あたりのエネルギーだけを見れば、低周波・高mJの方が強く見えます。

ところが、実際にサビを除去すると、高周波側の方が速く取れる場合があります。

高い周波数では短い間隔で多数のパルスが照射されるため、

  • パルスが細かく重なる

  • サビ層へ連続的にエネルギーが入る

  • 熱が蓄積しやすくなる

といった変化が起こります。

ジージービーでも、実際の加工テストで深いサビを除去する際、周波数を高くすることで除去が進みやすくなるケースを確認しています。

つまり、

「1発あたりのエネルギーが大きいこと」と「実際にサビが速く取れること」は、必ずしも同じではありません。

ここがパルスレーザーの条件設定の奥深いところです。

高周波では「照射焼け」が出ることもある

高い周波数にはメリットだけではなく、注意点もあります。

非常に短い間隔でレーザーを照射すると、ワークに入った熱が十分に逃げる前に次のパルスが入る場合があります。

その結果、

表面の変色

照射焼け

熱影響

などが現れることがあります。

例えば鉄のサビを強い条件で除去した場合、サビ自体はきれいに取れていても、処理後の金属表面が黒っぽくなったり、茶色や青色に見えたりすることがあります。

そのため、

サビがよく取れる条件=仕上がりが最もきれいな条件

とも限りません。

除去速度を優先するのか、母材への影響を抑えるのか、仕上がりを重視するのかによって設定を変える必要があります。

母材への影響については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

レーザークリーナーは母材を傷める?熱影響と仕上がりをメーカーが解説

では低い周波数にはどんなメリットがある?

低い周波数では、1秒間に照射されるパルスの回数が少なくなります。

平均出力が一定という前提では、その分、1発あたりへ大きなエネルギーを持たせることができます。

そのため、

1発ごとの作用を強くしたい

という加工では、低周波側が有効になる場合があります。

イメージとしては、

低周波・高mJ=少ない回数で強く叩く

高周波・低mJ=細かく何度も連続して当てる

という違いです。

ただし、周波数は低くすれば低くするほど良いわけではありません。

レーザー光源には、それぞれ最大パルスエネルギーや使用できる周波数範囲があります。

一定以下まで周波数を下げても、平均出力がそのまま維持されるとは限りません。

周波数だけ変えても加工条件は決まらない

レーザークリーナーの設定で特に重要なのが、この部分です。

実際の加工結果は、周波数だけで決まりません。

例えば、

レーザー出力(W)

パルスエネルギー(mJ)

パルス幅(ns)

周波数(kHz)

走査速度

スキャン幅

焦点位置

などが相互に関係しています。

同じ500kHzでも、走査速度が違えば加工結果は変わります。

走査速度を速くすれば、ワーク上の同じ場所へ入るパルス数は少なくなります。

逆に走査速度を遅くすると、同じ場所へ多くのパルスが重なるため、除去力が上がる一方で熱影響も大きくなる可能性があります。

つまり、

周波数と走査速度はセットで考える必要があります。

パルス幅(ns)によっても加工の性格は変わる

さらにパルスレーザーでは、パルス幅も重要です。

パルス幅とは、1回のレーザーが照射されている時間です。

一般的にはns(ナノ秒)で表されます。

同じパルスエネルギーでも、短い時間にエネルギーを集中させればピークパワーは高くなります。

そのため、

周波数だけを見て「この設定が一番強い」と判断することはできません。

mJ、周波数、パルス幅、走査速度などを組み合わせることで、レーザークリーナーの加工特性が決まります。

「高周波=強い」「低周波=強い」ではない

レーザークリーナーについて、

「周波数を高くすれば強くなる」

あるいは、

「周波数を下げればmJが大きくなるから強い」

と説明されることがあります。

しかし、どちらも一部分だけを見た説明です。

低周波側には、1発あたりのエネルギーを大きくできるメリットがあります。

一方、高周波側には、非常に短い間隔で多くのパルスを照射できる特徴があります。

重要なのは、

何を除去するのか

どのくらいの処理速度が必要なのか

母材への影響をどこまで許容できるのか

どのような仕上がりを求めるのか

という目的に合わせて条件を設定することです。

CWとパルスでも加工の考え方は違う

今回説明している周波数やmJは、特にパルスレーザークリーナーを理解するうえで重要な項目です。

一方、連続波(CW)レーザーは、基本的にレーザー光を連続して照射するため、パルスレーザーとは加工条件の考え方が異なります。

CWは広い面積を効率よく処理する用途を得意とし、パルスは母材への熱影響をコントロールしながら処理したい用途などで選択されることがあります。

ただし、

サビ取りだから必ずパルス

広い面積だから必ずCW

という単純なものではありません。

対象物、面積、処理速度、仕上がりなどを総合的に見て選定することが重要です。

CWとパルスの違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

レーザークリーナーの連続波(CW)とパルスの違いとは?用途・仕上がり・選び方を徹底比較

最適な周波数は実際のワークで確認する

「鉄のサビなら何kHzが正解ですか?」

と聞かれることがあります。

しかし、これは一つの数字では答えられません。

同じ鉄でも、

軽い表面サビなのか、

長期間進行した深いサビなのか、

母材の厚みはどの程度なのか、

処理速度を優先するのか、

仕上がりを優先するのか、

によって最適な条件は変わります。

そのためジージービーでは、可能な限りお客様の実際のワークを使用した加工テストを行っています。

周波数、パルス幅、走査速度などを変えながら、

除去状態

処理速度

母材への影響

仕上がり

などを確認し、その用途に適した条件を検討します。

まとめ|レーザークリーナーの設定は奥が深い

レーザークリーナーの周波数は、単純に高ければ良い、低ければ良いというものではありません。

周波数を高くすると、1発あたりのエネルギーは小さくなる一方、多くのパルスを短い間隔で照射できます。

低周波側では、1発あたりのエネルギーを大きくできる場合があります。

さらに実際の加工では、

mJ

パルス幅

周波数

走査速度

スキャン幅

焦点位置

など、複数の条件が組み合わさって加工結果が決まります。

同じレーザークリーナーでも、設定を変えることで驚くほど加工結果が変わることがあります。

レーザークリーナーの条件設定は、知れば知るほど奥が深い分野です。

だからこそ、カタログ上のW数や設定値だけで判断するのではなく、実際のワークで確認することが重要です。

ジージービーでは、お客様の実際のワークを使用した加工テストを行い、用途に適したレーザークリーナーや加工条件を検討しています。

「サビをもっと速く取りたい」
「照射焼けを少なくしたい」
「どの周波数が適しているのか分からない」
「自社のワークに合う設定を知りたい」

など、レーザークリーナーの加工条件についてお困りの場合は、詳しくは弊社までお気軽にお問い合わせください。

合同会社ジージービー

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