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レーザークリーナーの走査速度(mm/s)とは?速い・遅いでサビ取り性能はどう変わる?

レーザークリーナーの走査速度(mm/s)とは?速い・遅いでサビ取り性能はどう変わる?

レーザークリーナーの設定画面を見ると、

「Speed」
「Scan Speed」
「走査速度」

などと表示される項目があります。

数値の単位としては、mm/s(ミリメートル毎秒)が使われることがあります。

「速度を上げれば作業が速くなるの?」
「遅くした方がサビはよく取れる?」
「5,000mm/sと10,000mm/sでは何が違う?」
「周波数やmJとはどんな関係があるの?」

こうした疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。

実は走査速度は、レーザークリーナーの除去力・熱影響・仕上がり・処理速度を左右する重要な条件のひとつです。

しかも、走査速度だけを見て「速い方が良い」「遅い方が強い」と判断することはできません。

今回は、レーザークリーナー専門メーカーのジージービーが、走査速度(スキャン速度)とは何か、設定を変えると加工がどのように変わるのかを分かりやすく解説します。

レーザークリーナーの「走査速度」とは?

レーザークリーナーは、レーザー光を一点に当て続けているわけではありません。

加工ヘッド内部のスキャナーによってレーザー光を高速で動かし、線状や円形などのパターンで対象物の表面を走査しています。

このとき、

レーザー光がどのくらいの速さで表面を移動するか

を表す数値が走査速度です。

例えば、

5,000mm/s
10,000mm/s

と設定されている場合、レーザー光が設定された走査パターン上を高速で移動していることを意味します。

ただし、機種や制御方式によって「Speed」という設定値がどの動作を示すかは異なる場合があります。

そのため、実際の設定では使用しているレーザークリーナーの制御仕様を確認することも重要です。

「走査速度」と作業者が手を動かす速度は別

ここは意外と混同されやすいポイントです。

ハンディタイプのレーザークリーナーでは、

① 加工ヘッド内部でレーザー光が動く走査速度

と、

② 作業者がレーザーヘッドそのものを動かす速度

の2つがあります。

例えば走査速度を5,000mm/sに設定していても、作業者がハンドガンを5,000mm/sで動かしているわけではありません。

レーザー光は加工ヘッド内部で高速走査し、その照射範囲を作業者がワーク上で移動させています。

つまり実際の加工結果は、

走査速度
スキャン幅
作業者の移動速度
レーザー出力
周波数

などが組み合わさって決まります。

走査速度を遅くするとどうなる?

ほかの条件を同じにしたまま走査速度を遅くすると、レーザー光が同じ領域を通過する時間が長くなります。

その結果、一般的には同じ場所へレーザーが重なりやすくなり、

除去対象へより多くのエネルギーを与える方向

になります。

例えば、

軽い条件では取れなかったサビが取れやすくなる
厚い付着物への作用が強くなる
塗膜の除去が進みやすくなる

といった変化が現れる場合があります。

そのため、

「もう少し除去力を上げたい」

という場合に、走査速度を下げることが有効になるケースがあります。

しかし、遅くすれば遅くするほど良いわけではありません。

遅すぎると熱影響や照射焼けが出ることもある

同じ場所へレーザーが繰り返し照射されると、除去力が上がる一方で、母材へ入るエネルギーも増える方向になります。

条件が強すぎると、

照射焼け
表面の変色
母材への熱影響
表面状態の変化

などが現れる可能性があります。

つまり、

サビがよく取れる条件=最も良い条件

とは限りません。

除去速度を重視するのか、母材への影響を抑えるのか、仕上がりを重視するのかによって適した走査速度は変わります。

母材への影響については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

レーザークリーナーは母材を傷める?熱影響と仕上がりをメーカーが解説

では走査速度を速くするとどうなる?

走査速度を速くすると、レーザー光は同じ場所をより短い時間で通過します。

そのため、ほかの条件が同じであれば、

同じ場所へのエネルギー集中を抑えやすい
熱影響を抑えやすくなる場合がある
広い範囲を走査しやすい

という方向になります。

一方で、速くしすぎるとレーザーが十分に作用する前に通過してしまい、

サビが残る
塗膜が完全に除去できない
何度も往復する必要がある

といったことも起こります。

つまり、

走査速度を2倍にしたから、作業時間が必ず半分になる

という単純なものではありません。

速く走査して何度も往復するよりも、適切な速度で一度にしっかり除去した方が、結果として作業時間が短くなる場合もあります。

速い・遅いを簡単に比較すると

ほかの条件が同じという前提で考えると、おおまかには次のような傾向があります。

項目

走査速度が遅い

走査速度が速い

同じ場所への照射

重なりやすい

重なりにくい

除去作用

強くなる場合がある

弱くなる場合がある

熱影響

大きくなる場合がある

抑えやすい場合がある

照射焼け

出やすくなる場合がある

抑えやすい場合がある

除去不足

起こりにくい方向

起こる場合がある

加工範囲

ゆっくり進む

広く走査しやすい

ただし、これはあくまで走査速度だけを変えた場合の基本的な考え方です。

実際には周波数・mJ・パルス幅・スキャン幅などによって結果は大きく変わります。

走査速度と周波数は非常に深い関係がある

走査速度を理解するうえで特に重要なのが、周波数(kHz)です。

周波数とは、1秒間に何回レーザーパルスを照射するかを表します。

例えば、

100kHz=1秒間に10万回
500kHz=1秒間に50万回

レーザーパルスを照射しています。

レーザー光を走査しながらパルスを照射するため、

走査速度と周波数によって、ワーク上でパルスが当たる間隔が変わります。

単純化して考えると、

パルス間の距離 ≒ 走査速度 ÷ 周波数

としてイメージできます。

例えば100kHzで直線的に走査すると仮定すると、

5,000mm/s ÷ 100,000Hz = 約0.05mm

つまり、パルスとパルスの間隔は約50μmです。

同じ100kHzでも、

10,000mm/s ÷ 100,000Hz = 約0.10mm

となり、約100μmになります。

走査速度を2倍にすると、単純計算上ではパルス間隔も広くなることが分かります。

反対に500kHzで5,000mm/sなら、

5,000 ÷ 500,000 = 約0.01mm

約10μmごとにパルスが入る計算になります。

この数字を見ると、なぜ走査速度と周波数を別々に考えてはいけないのかが分かりやすくなります。

ただし、実際の重なり方はレーザースポット径、ビーム形状、走査パターン、スキャン幅などにも左右されます。

周波数についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

レーザークリーナーの周波数(kHz)とは?サビ取りで設定を変えると何が変わる?

mJが同じでも走査速度が違えば結果は変わる

パルスレーザークリーナーでは、1発のパルスエネルギーをmJ(ミリジュール)で表します。

例えば同じ1.5mJのレーザーでも、

走査速度が遅い条件
走査速度が速い条件

では、ワーク上でのパルスの重なり方が変わります。

そのため、

「このレーザーは1.5mJだから強い」

という数字だけでは、実際の加工性能を判断できません。

重要なのは、

1発のエネルギーが何mJなのか
1秒間に何回照射するのか
どのくらいの速度で走査するのか

を組み合わせて考えることです。

mJとW・周波数の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。

レーザークリーナーはmJが大きいほど強い?パルスエネルギーとW・周波数の関係をメーカーが解説

パルス幅(ns)との組み合わせでも加工は変わる

さらにパルスレーザーでは、パルス幅(ns)も重要です。

パルス幅とは、1回のレーザーが照射されている時間です。

同じmJでも、短い時間にエネルギーを集中させる場合と、長い時間をかけて与える場合では材料への作用が変わります。

そして、そこへ走査速度が加わります。

つまり実際の加工では、

mJ × 周波数 × パルス幅 × 走査速度

が互いに関係しています。

パルス幅についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

レーザークリーナーのパルス幅(ns)とは?短い・長いで除去力や熱影響はどう変わる?

同じレーザークリーナーでも設定で結果は大きく変わる

レーザークリーナーを実際に使用していると、

「この機械はサビが取れない」

と思っていたものが、条件を変更すると急に除去しやすくなることがあります。

逆に、非常によく取れる設定でも、

照射焼けが強い
母材への影響が大きい
仕上がりが用途に合わない

ということもあります。

これはレーザークリーナーの性能が単純にW数だけで決まるものではないからです。

実際には、

レーザー出力
パルスエネルギー(mJ)
周波数(kHz)
パルス幅(ns)
走査速度
スキャン幅
焦点位置
ビーム特性

などが組み合わさって加工結果が決まります。

この組み合わせを理解することが、レーザークリーナーを使いこなすうえで非常に重要です。

サビ取りなら何mm/sが正解?

「鉄のサビなら走査速度は何mm/sにすればいいですか?」

と聞かれることがあります。

しかし、これも一つの数字では答えられません。

同じ鉄でも、

表面に薄く発生したサビなのか
長期間進行した深いサビなのか
母材の厚みはどのくらいか
処理速度を優先するのか
表面の仕上がりを重視するのか

によって適した条件は変わります。

さらに同じ5,000mm/sでも、周波数やmJ、パルス幅、スキャン幅が違えば加工結果は変わります。

そのため、

「サビなら○○mm/s」

という設定値だけを覚えるのではなく、実際のワークを見ながら条件を調整することが重要です。

ジージービーでは実際のワークで加工条件を確認

ジージービーでは、レーザークリーナーを選定する際、可能な限りお客様の実際のワークを使用した加工テストを行っています。

単に「何Wのレーザーか」だけを見るのではなく、

除去対象
母材
求める処理速度
仕上がり
母材への影響

を確認しながら、走査速度、周波数、パルス幅などの加工条件を調整します。

レーザークリーナーでは、カタログ上の数値だけでは分からないことが数多くあります。

だからこそ、実際のワークで確認することが重要です。

まとめ|走査速度を理解すると加工条件がもっと見えてくる

レーザークリーナーの走査速度(mm/s)は、レーザー光がワーク上をどのくらいの速さで走査するかを表す重要な設定です。

一般的には、走査速度を遅くすると同じ領域へレーザーが重なりやすくなり、除去作用が強くなる場合があります。

一方、遅すぎると熱影響や照射焼けが大きくなる可能性があります。

走査速度を速くすると広い範囲を走査しやすくなりますが、速すぎれば除去不足になる場合があります。

そして最も重要なのは、

走査速度だけで加工性能は決まらない

ということです。

mJ
周波数
パルス幅
走査速度
スキャン幅
焦点位置

などの条件が組み合わさって、実際の加工結果が決まります。

レーザークリーナーの条件設定は、知れば知るほど奥が深い分野です。

だからこそジージービーでは、カタログ上の数値だけで判断するのではなく、お客様の実際のワークを使用した加工テストを重視しています。

「サビをもっと速く取りたい」
「照射焼けを抑えたい」
「走査速度をどう設定すればいいか分からない」
「自社のワークに適した加工条件を知りたい」

など、レーザークリーナーの選定や加工条件についてお困りの場合は、詳しくは弊社までお気軽にお問い合わせください。

合同会社ジージービー

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